人間、他人のことはよく分かっても、自分のことは自分ではなかなか分からないものです。鏡に映すことで自分の姿が見えるように、何かに映しださなければ、なかなか「自分」には気づきません。
例えば、自分の声。みなさん、自分の声を録音して聞いてみてショックを受けた体験をされたことはないでしょうか。私はあります。あれは本当に恐ろしい体験です。
小学校低学年の時に、当時流行っていたアイドルグループに完全になりきって熱唱する私。
歌手になれるんじゃないか、とカセットに録音し、意気揚々と再生ボタンを押す私。
ラジカセから流れ出る自分の声を初めて耳にし、どうしようもない絶望感を味わった私…。
「自分」に気づくこと、「自分」を受け入れるということは、こんなにも恐ろしく困難な作業なのだ、と悟った私…。
カウンセリングの場では、この「自分」を映し出す役割を主にカウンセラーが果たしますが、時には心理検査を利用して相談に来られた方への理解を深めることがあります。相談に来られた方にとっては、心理検査に「自分」の一部を映し出して、自分のことを分かろうとする、と言えます。
心理検査にはいろいろな種類があります。性格を調べるもの、対人関係や行動のクセを調べるもの、気分や感情を調べるもの、様々な能力を調べるもの・・・。
いずれにせよ、ちゃんとした心理検査は、よく雑誌やテレビで紹介される心理テストとは異なり、きちんと一定の手続きを経て作られているものがほとんどです。ですから、占いのように「当たる」「当たらない」というものではありません。心理検査で見えてくるものは、どれもその人の一部です。
心理検査を受けて、よく「当たってる!」と驚かれる方がおられますが、「当たってる」と感じるのは、その人が自分でも気づいている自分を再確認した時だと言えます。逆に、「当たってない」と感じるのは、その人がまだ自分では気づいていない自分に出会った時かもしれません。
「自分」や「心」という曖昧なものに対して、どの角度でどんな深さまで掘り下げるかで見えてくるものが違います。
もう少し心理検査について書いてみたいと思います。
by あの時の歌声は何かの間違いだったと信じているカウンセラー
カウンセリングルーム虹